ぼく勉の人気投票に見るジャンプ編集部の思惑
今週のジャンプで『ぼくたちは勉強ができない』の人気投票結果が発表されましたね。
まずは桐須先生、1位おめでとうございます。そんな予感はしてました。
我が推しのうるかは3位。まあこんなもんだと思います。現状のぼく勉環境下において一位にはならないと予想していました。ちなみに俺は結局投票していません。
今回はぼく勉、そしてジャンプの人気投票そのものについて 真 面 目 に書きたいと思います。
○人気投票のやり方について○
大雑把に分けて、ジャンプの人気投票には2種類の応募方法があります。
1. 本誌に付いている応募券をハガキに貼る
2. 応募券を貼らない
今回のぼく勉は2です。つまり、ハガキがあればあるだけ投票できるというわけですね。
近年のジャンプ作品は応募券制が多かったのですが、ここへ来て応募券なし。これは明らかに大量投票を良しとした戦略です。
ぼく勉のようなラブコメ作品において、キャラ人気というのは今後のストーリーを左右する重要なファクターです。
当初主人公とくっ付ける予定だったヒロインよりも別のヒロインの方が人気が出てしまった。じゃあそのヒロインをくっ付けよう。多いにあり得ます。
俺はリアルタイムで読んでいたわけではないので詳しくは知らないのですが、かの『いちご100%』では西野の方が人気が出てしまったばっかりに東城は敗北しました。俺は南が好きです(誰も聞いてない)
つまりヒロインが複数いることが基本であるジャンプのラブコメにおいて、人気投票の結果というのはキャラクターにとってはメタ的な意味で死活問題というわけです(厳密にはいちご100%は公式の人気投票は行われていません)。
○大量投票、その功罪○
しかしその常識を覆した存在がいます。
そう、ご存知千葉県のYさんです。
第1回ニセコイ人気投票において、1位は小野寺さんでした。まあ当然ですね。
小野寺さんが天使であるということは置いておいて、問題は4位のマリーでした。
「私に1人で1500票手描きで送ってくださった、千葉県のYさんに特別な感謝を...」
1500票手描きで送るという狂気もさることながら、問題はその大量投票を肯定するようなセリフにあります。恐らく作者としては本当に感謝のつもりで描いたのでしょうが...
この出来事は続く第2回人気投票において、KさんやらFさんと言った手描き大量投票人間を生み出すこととなりました。しかもそのキャラクターからお礼の言葉付き。小野寺さんの口から「Fさんありがとう」なんて取ってつけたようなセリフは聞きたくありませんでした。
話しが少し逸れましたが、何が言いたいのかというと、このニセコイの人気投票以降「見かけの投票数がキャラクターの人気と必ずしも一致しない」という事実が生まれたわけです。
大量投票を良しとすることで、全体の投票数は大幅に増加します。これによりその作品は人気であるという認識を読者に与えることになり、販促につながります。
また千葉県のYさんのように、自分の推しキャラクターの順位を上げるために出来ることが生まれます。
しかしこれでは必ずしも「人気投票」ではなくなってしまいます。「熱心な信者」がいるキャラクターは誰かというランキングになる可能性もあるのです。実際の人気は作者と編集にしか分かりません(最も、千葉県のYさんは応募券制だったニセコイエピソード投票においても800票以上を投票したのですが)
○ぼく勉は何故応募券制にしなかったのか○
もう答えは見えてますね。明確なキャラ人気の格付けを行いたくなかったからです。
現状ぼく勉のヒロインバランスは神がかっています。
しかしそれは綱渡りのようなレベルで、少しの衝撃で崩れてしまうほど繊細なものです。
もし今回、応募券制の人気投票でより各キャラクターの人気が明確になった場合、それは必ず読者に何らかの意識を与えます。もうこのヒロインは負け確定、といった先の展開に関わるようなバイアスです。
しかし大量投票を推奨することで、実際の人気は作り手にしか分からないようにしました。そして「○○さんありがとう」のような、特定のキャラクターに大量投票があったことを明らかにするような愚の骨頂なことはしませんでした。
私としてはナイス判断だと思います。
そもそも、ジャンプのメイン読者層である中高生が先生にそんなに投票するわけないじゃないですか。
桐須先生に投票しているのは間違いなく大きいお友達です。つまり、子供に比べて財力と行動力があり、推しキャラの為に動ける人間です。Twitterで検索するとよく分かります。
中高生は普通1.2票しか送りません。そして普通に自分と同年代のヒロインに投票します。小野寺さんに投票した中学時代の私のように。
勿論桐須先生は人気のあるキャラクターだとは思いますけどね。
作者の手元には本当の人気データが渡ったわけですが、果たしてお話作りに影響を及ぼすのかどうか。神のみぞ知るところです。
○他作品の人気投票について○
私は基本的に応募券制で良いと思っています。
「僕のヒーローアカデミア」でデクが1位になろうがかっちゃんが1位にになろうがお話作りには全く関係ないからです(そりゃ少しは出番に影響があるとは思いますが)
「青春兵器ナンバーワン」のようなギャグ作品はカオスな結果になりがちですが、作風故仕方のないことでしょう。
「ぼく勉」が応募券制でなかったのは本当に近年のジャンプでは稀な例であり、それこそニセコイの残した功績のなし得る出来事だと思っています。良くも悪くも。
つまりここまでの話を纏めるとですね。
最初から最後まで読者人気にとらわれず千棘ENDを描ききった古味直志先生すごいね
ってことです。以上。
p.s.
なんか腹立ってきたんでニセコイ人気投票の記事書きます。